自律神経失調症とは?主な症状と治療について紹介
自律神経失調症に悩む方は多く、およそ65万人が診断を受け、潜在的な患者数はその10倍ともいわれています。
本記事では、自律神経失調症の症状や一般的な治療法等を紹介します。
自律神経失調症とは?要因・治療法
自律神経とは?
自律神経失調症の前に、自律神経についておさらいしておきましょう。
自律神経とは、心臓を動かす・汗をかくという時、自分の意思とは関係なく、自らの身体を調整する神経のことであり「交感神経」と「副交感神経」の2つに分類されます。
また、その自律神経によって「呼吸」「代謝」「鼓動」「体温調節」、その他精神状態の変化によってもたらされる身体反応です。
例えば、悲しい時の涙や驚いた時の鼓動、頬の紅潮等が挙げられます。
交感神経と副交感神経
続いて、交感神経と副交感神経に関係について見ていきましょう。
交感神経が優位になると現れるものはつぎのようなものなります。
- 脈が速くなる
- 呼吸の促進
- 血管の収縮
- 消化の抑制
- 尿をためる
- 涙が出にくい
一方で副交感神経が優位になると、上述したものとは逆の減少が起こり、次のようなものが現れます。
- 脈が遅くなる
- 呼吸の抑制
- 血管の拡張
- 消化の促進
- 涙が出る
自律神経が乱れるとは
交感神経と副交感神経は24時間を通し、状況に応じて強弱が切り替わるようになっています。
そして、そのどちらかが強くなりすぎると、身心に様々な問題が起こるようになります。
この状態が自律神経失調症と呼ばれるものです。
自律神経失調症は、ストレスによって自律神経のバランスが崩れて起こる様々な症状の総称であり、正式な病名ではありません。
また、交感神経の活動が強まり過ぎることで緊張状態になっていることが多いのです。
自律神経失調症の主な症状
自律神経失調症の症状は、身体だけでなく精神面にも現れることがあります。
身体的症状
- 吐き気
- 頭痛
- 発熱
- 立ち眩み
- 倦怠感
- 冷や汗
- 生理不順
- 耳鳴り
- めまい
- 不眠症
- 味覚障害
- 過呼吸
- 震え
- 動悸
- 激しい血圧変動 等
精神的症状
- 人間不信
- 情緒不安定
- 被害妄想
- うつ状態 等
自律神経失調症の要因
自律神経失調症の要因は、主に次の3つが考えられています。
①ストレス:特に理想主義、負けず嫌い、完璧主義の人はストレスを溜め込みやすいので注意。
②ホルモンバランスの乱れ(更年期):更年期による女性ホルモンの減少が影響する
③生活習慣の乱れ:睡眠の室の低下、バランスの悪い食生活、運動不足
ストレス・ホルモンバランスの乱れ・生活習慣の乱れにより、自律神経のバランスが崩れてしまう恐れがあります。
また、自律神経失調症と似た症状の病気はいくつかあり、身体の症状では糖尿病やパーキンソン病、バセドウ病等があります。
そして、精神の症状では心身症やうつ病などがあるなど、重大な病気が隠されている場合もあるのです。
そのため、「自分は自律神経失調症だ」と思い込むことは危険です。疑わしい時は病院を受診するようにしてください。
自律神経失調症の検査と治療
自律神経失調症の症状は人によって様々であるため、明確な診断基準は定められていません。
よって、前述したように他の病気がないかを調べるために血液検査や尿検査、心電図検査、CTやMRIを行なうこともあるほか、心理検査として性格特性、行動特性、神経症特性等も調べることがあります。
医師との面接では既往歴や症状、これまでの経過や生活習慣、仕事や家庭の人間関係等を診察します。
また、自律神経失調症の治療では、カウンセリング等の心理的なアプローチと投薬による治療で改善をはかることが多いです。
心理的アプローチについては、精神科医や心理療法士によるカウンセリングや自律訓練法等があります。
大切なことは、規則正しい生活やバランスの良い食事を心がけることが第一歩になるといわれています。
自律神経失調症に悪い影響を及ぼす栄養素
自律神経失調症の予防には、トランス脂肪酸や糖、カフェインの摂り過ぎを避けることが大切です。
トランス脂肪酸はマーガリンに含まれ、ホルモン分泌や神経伝達に影響を与えると言われています。
糖については摂取により血糖値が上がります。血糖値が急激に変動することは、苛立ちや倦怠感など精神症状が起こりやすくなると言われています。
最後にカフェインですが、主に紅茶やコーヒー等に含まれることは良く知られています。カフェインも過剰摂取することにより交感神経が刺激を受けます。
その結果、副交感神経とのバランスが崩れる恐れがあるため、これら栄養素の摂り過ぎには注意が必要です。